【R6.11.30追記】令和6年度本試験にて5科目到達し官報合格しました。
このページを見ているということは、これから税理士試験に挑戦しようとしている方、何科目か合格しこれからの科目選択に悩んでいるような方がほとんどかと思います。
税理士試験に関するネットの情報は不正確な情報もかなり多いので、実体験に基づいた税理士試験のリアルをお伝えしたいと思います。
勉強開始時の学習レベル
まず、自身の試験勉強開始時の学習レベルについて記載します。
・地方の商業高校卒業後、東京の大学に進学
・高校在学中に日商簿記2級を取得、大学在学中は特に何もせずに卒業
・大学卒業後、会計業界とは別の業界の会社に1年勤めた後、会計事務所に転職
・転職した会計事務所に3年勤めた後、別の会計事務所に転職して転職と同時に税理士試験の勉強開始
上記のような感じで、初学時のレベルとしては日商簿記2級合格レベルで、実務経験としては3年というレベルでした。
受験勉強開始時の年齢は26歳です。
科目ごとの学習時間について
税理士試験の勉強を始める際にネットで科目ごとの学習時間を調べると思うのですが、資格学校などで提示している時間はあまりにも少なすぎてあの時間で合格できるかというとかなり厳しいと思います。
例えば某T校のサイトで簿記論450時間、所得税法600時間、酒税法150時間程度が標準学習時間として提示されていますが、到底こんな時間では合格できません。
上位20%程度の合格圏内に入るためには、簿記論800時間、所得税法1,200時間、酒税法400時間程度は欲しいかなという感覚です。
理論暗記の精度や暗記範囲次第ではありますが、標準学習時間として提示されている時間の1.5倍~2倍の時間は必要だと思います。
なぜそこまでの勉強時間が必要なのかというと、税理士試験は表向きは絶対評価の試験のように見えますが、中身は相対評価の試験になっているからです。
絶対評価とは試験の配点が事前に決まっており60点以上で合格となるような評価方法で、対する相対評価とは受験者全体の上位何%が合格となるように評価される方法です。
国税庁のサイトによれば税理士試験の合格基準点は満点の60%とされているので、絶対評価のように見えますが試験問題が簡単な年でも難しい年でも合格率が一定であるため、合格率が高くなりすぎないように調整が入っているという見方が定説となっています。
おそらくですが合格点は60点なのですが、受験者の出来によって設問ごとに傾斜配点がされていると思われ、配点を調整することによって毎年一定の合格率になるように調整がされていると思われます。
ただし、簿記論及び財務諸表論の2つの会計科目については合格率が30%近くに達することもあり、この2科目については受験者数も多いため初めから配点が決まっており、絶対評価によって合否が決まっている可能性もあるかなと思います。
税法科目については相対評価であるのはほぼ間違いないと思います。
相対評価であることを踏まえるとここまで勉強すれば大丈夫という確実な合格ラインというものが存在せず、いかに他の受験者に負けないかが重要な試験となるので、本試験まで絶え間なく勉強し続けることになります。
例えば令和5年の酒税法の試験は受験者数463人に対して、合格者数がたった59人となっています。
酒税法はボリュームとしてはかなり少ないので全部網羅するのに必要な時間は確かに少ないですが、ボリュームが少ないということは全受験者が高いレベルまで仕上がってしまうので、その中で合格者である上位59人に入るためにはスピードと精度を上げるためにかなりの勉強時間が必要となってしまいます。
1年目【簿記論・財務諸表論】
前提の話が長くなってしまいましたが、実際の受験記について書きたいと思います。
1年目はまず会計科目である簿記論と財務諸表論の2科目を受験しました。
簿記論については大原の教材のみを送ってくれるコースを受講し、財務諸表論についてはスタディングの教材で勉強しました。
スタディングの教材については簿記論と財務諸表論がセットになっているものでした。
個人的には簿記論と財務諸表論の同時受験はかなりオススメです。
科目的には2科目ですが、簿記論と財務諸表論の論点はかなり被っているものが多いので、実質的には1.5科目分ぐらいの学習量で合格できると思います。
計算については簿記論をやっておけばほぼ大丈夫で、財務諸表論だけの論点として財務諸表の表示科目を覚えたり貸倒引当金の表示区分と計算方法を覚えたりする程度で済みます。
財務諸表論の理論もありますが税法の理論と比べれば遥かに簡単で、最近の試験の傾向として選択問題がかなり多いので、理解重視で流しているだけで合格ラインまで行けると思います。
1年目の学習時間は簿財2科目で約1,300時間程度でした。
具体的には平日3時間、休日8時間程度で週30時間程度、月120時間程度、9月から本試験8月まで11ヶ月で約1,300時間という内訳です。
フルタイムで働きながらなので仕事以外の時間はほぼ全て勉強しているような状態でした。
3月ぐらいまでは平日にテキスト項目の学習をして休日に模試を解くといった感じでしたが、4月ぐらいからは平日にも2時間の模試を簿記論と財務諸表論を毎日交互に解いていました。
6月ぐらいからは過去問の演習を始めましたが、基本的には大原の模試の方が難しくボリュームも多かったので、過去問の方が簡単に思えるレベルにはなっていました。
過去問は初見でも本試験当時の合格ラインを超えられていたので、この時点である程度合格できそうな手応えは感じていました。
1年目【試験日当日】
ある程度の手応えを感じつつ本試験当日を迎えることになりますが、本試験の重圧を経験するのは初めてだったので簿記論は普段のように解くことが出来ませんでした。
緊張で手の震えが止まらず、手汗で答案用紙がしわくちゃになったのを覚えてます。
第1問と第2問は大原の直前予想問題とほぼ同じような問題が出たのでかなり解けたのですが、第3問で収益認識会計基準関係の問題がガッツリ出題されて面食らってしまいました。
新基準の収益認識は財務諸表論の理論で出題されることはあるだろうと思っていましたが、簿記論の計算でガッツリ出ることは予想していなかったので、年度の読み取りミス、転記するだけの数字の桁間違いなど普段ならやらないようなミスを相当やらかしました。
簿記論がボロボロだったのでメンタル的にかなり疲弊してしまったのですが、もう逆に吹っ切れてしまったのでその次の時間の財務諸表論は緊張もなくかなりスムーズに解けたのを覚えています。
本試験後に解答速報で答え合わせをしたのですが、答えを書いた答案用紙はもちろん回収されてしまっており手元にないため、答案復元がまず難しいです。
なんとなくこう書いた気がするという記憶を元に答え合わせするしかないので、なんとなくでしか答え合わせは出来ません。
財務諸表論はかなり出来が良かったので、なんとなくで復元した答案で90点ぐらいあったのでこっちは合格確実だなと確信していました。
問題は簿記論で何と書いたか覚えていない問題も多く、点数も65点ぐらいでボーダーかそれよりもちょっと低いぐらいかなという感じで、正直落ちていてもおかしくないという感じでした。
財務諸表論は合格確実だったのでとりあえず9月からは税法2科目を始めつつ、12月の合格発表を見て簿記論が落ちていたら受験科目をどうするか再度組み直すことにしました。
結果としては不安だった簿記論も受かっていて、1年目で簿財2科目同時合格することができ、2年目の税法2科目に集中することができる環境となりました。
2年目はミニ税法2科目を受けることにして、固定資産税法と酒税法を受験することになります。
ミニ税法2科目取れたら最後にボリュームの多い法人税法か所得税法を取ろうという算段です。
税理士試験の簿財は比較的簡単に取れて飴と鞭の飴のようなもので、本当の敵は税法だと気付くのはこれからのお話…
2年目以降の税法との戦いは別記事に続きます。